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特別対談

新たな価値を創造するトップイノベーターたち

さまざまなジャンルで「イノベーター」と呼ばれるキーパーソンをお招きして、“イノベーション”が創り出す価値とその重要性を紹介してゆく連載対談企画。
第二回は元Google日本法人代表取締役の村上 憲郎さんに、新たに訪れるテクノロジーとその将来性についてお聞きしました。

エンジニアが「チーム」で創り出す未来のテクノロジー

進化させていくエンジニアの社会的地位と価値

川崎 現在、エンジニアの人財不足が深刻化していますが、その要因の一つとして考えられるのが、日本国内ではエンジニアの社会的価値が、米国のそれと比べると、全体的にまだ下に見られがちだからではないかと思います。
わたしたちも「エンジニアの価値を変えよう」、そして「派遣の価値を変えよう」、さらには「業界の社会的地位を向上させよう」という強い想いでこの数年間、走り続けてきました。

VSNの社員はGoogle社のような世界トップクラスのエンジニア集団にはまだ及びません。しかし、そんなエンジニア集団だからこそ、仲間同士がスキルを補うことで助け合い、支え合い、常にお互いを鼓舞し合あう、そんなチームとして「バリューチェーン・イノベーター」というビジョンの実現に向け、全社員が一枚岩となり、サービスの革新を目指し続けています。

村上 確かに、Googleには優れたエンジニアが揃っていました。
しかし、全員が入社から常に高いパフォーマンスを出し続けるかどうかは別の話でしたね。
中には発想がとてつもなく尖っていて、時代の先を行き過ぎて実用化できなかったりするような(笑)個性的なエンジニアもたくさんいました。
優秀なエンジニアたちが大きなイノベーションを創ってきましたが、VSNのようにコンサルティングスキルを持つエンジニアはGoogleには多く存在しなかったと思います。

今後、VSNは将来的に「わたし達はエンジニアの派遣業ではありません。」というくらい思い切った表現を使って、世の中にその価値を伝えていくのか、もしくは「エンジニアリング・コンサルタント部門」、という位置づけでクライアントのプロジェクトをマネジメントしながらコンサルティングも担っていくのか。いずれにしても、これまでになかった取り組みだと思いますので、“単に技術者を派遣しているだけの会社ではない”、という部分の明確なアプローチが今後はより必要になってくるかもしれませんね。

川崎 おっしゃる通りですね。まさに我々もこのビジョンをスタートさせてから現在まで約四年が経ち、次期中期事業計画では、これまで育て上げてきた「バリューチェーン・イノベーター」が持つ価値をどのように広く世の中に伝え、既存サービスとの明確な差別化を図り、より多くのお客さまに活用していただくのかを、経営層だけではなく、全社員と共に真剣に向き合いながら考えてゆかなければと思っています。

経営者になるまでの道のり

川崎 村上さんご自身もエンジニアのご出身ですが、そこからグローバルトップ企業の経営者に就くまでどのような道を辿ってこられたのか、とても興味深いです。
実は私も理系だったのですが、社会に出るタイミングで、「いつか会社を経営する側になろう」と決めていました。

そのために必要なスキルはたくさんありますが、先ずは営業を学ばなければならないと考えました。営業をやるのであればトップセールスを目指さなければならない。それを実現した次は、「マネジメントに携わりたい。そのためには更に並み外れた結果を出さないと、自分の話なんて周囲には聞き入れてもらえない。」と、クリアすべき壁を一つひとつ自分に課してきました。社会人になってからはとにかく、365日戦闘態勢で、猛烈に働きました。「人より一歩も二歩も努力しない限り成功はない。近道して簡単に結果が出るほどビジネスは絶対に甘くない。」と。

ただ、まぁ最近ですと、「いやいや、がむしゃらに働くだけが成長じゃないでしょ?」みたいな風潮も強くなってきていますよね。
Google社は優れた社員の方が多いだけではなく、「働きがいのある会社」等のランキングでも常にお見かけします。実際はどのような企業カルチャーなのでしょうか?

村上 まず、私自身の経歴から少々、特殊なタイプだと思いますので、あまり参考にならないかもしれませんが。
高校卒業まで大分県の田舎町で育ち、大学に進んでからは学生運動が盛んな時代で卒論も出していませんからね。
ただ、社会に出て日立にエンジニアとして在籍していた七年間は、わたしも川崎さんと同様、がむしゃらに働きましたね。
正確に言うとがむしゃらに働かざるを得なかった。
学生の頃に基礎となる勉強をきちんと学んでいない訳ですから、仕事で分からなかったところがあれば仕事帰りにハウトゥ本を買って、なんとか理解していました。
その後、英語なんて全く喋ったこともないのにアメリカの会社に入ってしまったのです。
そこでは「アメリカの会社で英語が喋れない」ってことで当然、毎日のように周囲からバカにされ続けていました。
さすがに、このままではダメだと思い、3年間毎日三時間ずつ勉強し、5年後には英語で講演できるまでになりました。

ご質問のGoogleでのお話をしますと、おっしゃるように「働きがいのある会社」などのランキングでは上位に入っていますね。
乱暴に云うと“三食・昼寝付き”ですからね。なぜか、と言うと大半の社員が夜遅くまで頑張って働き、徹夜している者も多いからなんですよ。
エンジニアって一旦仕事を始めたら作業をできるだけ止めたくない訳です。
そうするとオフィスの中に、いつでも手軽に、かつ栄養バランスの良い食事ができる環境を用意してあげるだけで業務効率は格段に高くなります。
世間から見るとかなり高いコストをかけていると思われるかもしれませんが、仕事の生産性を考えると決してそんなことはありません。
いい意味で社員のみなさんに自由な環境を提供し、快適な職場にすることで、一人ひとりのパフォーマンスが最大限に発揮され続けているのだと思います。

はじまる「IoT(インターネット オブ シングス)」の時代

川崎 2020年の東京オリンピック開催へ向け、日本国内のテクノロジーもますます進化してゆくことだと思います。
先ほどもお伝えしましたが、VSNでは「バリューチェーン・イノベーター」のビジョンをさらに磨きあげていくことはもちろん、「チームVSN」として、1+1を2ではなく3、5・・・といった相乗効果に繋がるよう、チーム力強化にも全社で取り組んでいるところです。

村上 御社の2,600名のエンジニア全員で創る“チーム力”を発揮するステージとして、2015年は重要な1年になるのではないかと思います。

今後も「バリューチェーン・イノベーター」のビジョン実現に加えて、“エンジニアリング・コンサルタント”という新たなスタイルを世の中に掲げるきっかけになりえる「Internet of Things : IoT(=モノのインターネット)」という新たなイノベーションが今、IT業界に押し寄せてきています。

これは20年に一度、いや、50年に一度と言える大きな波となるでしょう。 「Windows 95」からちょうど20年、新たな革新の一つとして日本国内だけでも10兆円を超える市場規模が予測されています。

VSNにはITをはじめ、メカトロニクス・エレクトロニクスなど、多岐にわたる分野のエンジニアがバランスよく揃っているので、「チームVSN」として「IoTチーム」を発足させるには極めてベストなタイミングではないでしょうか。
やはり、こういった大きく新たな波に乗るのは、どこよりも早く、一歩踏み出すことが大切だと思います。

「Googleのエンジニアは優秀だからできるけど、うちはそうもいかないんです。」なんてことは絶対にありません。

さらに「IoT」は日本国内だけでなく世界中で注目されています。これを機にグローバルでの活躍も視野にいれ、さまざまなイノベーションを起こしてみてはいかがでしょう。
それによりみなさんの「働きがい」にもいい効果を呼び起こすと思います。

VSNの大いなる躍進を応援します。

村上 憲郎(むらかみ・のりお)さん プロフィール

元Google米国本社副社長兼 Google日本法人 代表取締役

1970年京都大学工学部卒業。卒業後日立電子に入社。ミニコンピュータシステムのエンジニアとしてキャリアをスタートした後、1978年、日本DECに入社。
1986年から5年間米国本社勤務、帰国後1992年に同社取締役に就任。
1994年米インフォミックス副社長兼日本法人社長に就任。
1998年ノーザンテレコムジャパン(現ノーテルネットワーク)社長兼最高経営責任者に就任。
2001年ドーセントジャパンを設立し、社長に就任。
2003年4月1日より、Google米国本社副社長兼Google日本法人代表取締役に就任。
2008年12月31日に退任し、2009年1月1日より同社名誉会長。現在は同社の経営からは退き、村上憲郎事務所代表を務めている。

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